2007年08月24日

GUIOMAR NOVAES「CHOPIN Piano Concerto No.2 in F minor, Op.21」

novaes2.jpgブラジルの名ピアニスト、ギオマール・ノヴァエスがオットー・クレンペラー(1885 - 1973)と51年に入れたショパンの協奏曲ヘ短調。このdiscは偉大な指揮者と女流ピアニストの掛け合いもさることながら、この時代のウィーンのオケのサウンドを堪能できるところも魅力のひとつ。オーケストラはウィーン交響楽団でモノラル録音。
オケは細かい作り込みが徹底していて密度も濃い。退廃的な雰囲気を引きずったような仄暗いサウンド。ピアノは重々しいオケのまわりを蝶のように舞う。軽やかだが薄くはなくダイナミクスの幅も広い。要所要所でテンポを落としてオケとの足並みを揃えるあたりに余裕を感じさせる。ラルゲット、レチタティーヴォの後のひと工夫も効果的。フィナーレは微妙にオケとのバランスが崩れるところもあるが最後は女王らしく貫禄のフィニッシュ。
レコード藝術の昭和29年4月号の座談会でショパンの協奏曲の名盤について、ヘ短調についてはロン盤とコルトー盤とこのノヴァエス盤の3人の名前が上がっていた。

【輸入盤CD】URANIA SP 4204
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2007年08月19日

MARTHA ARGERICH「CHOPIN I Koncert fortepianowy e-moll op.11」

argerich2.jpgマルタ・アルゲリッチが1992年12月4日にワルシャワで行ったliveを収録したCDをひとつ。グジェゴシュ・ノヴァク指揮、Sinfonia Varsoviaとの共演でショパンの協奏曲ホ短調。
ピアノはいわゆる普通のアルゲリッチの演奏。相変わらず快速に飛ばしていて気持ちいいが、スピードを上げる前は必ず速度を整理して、フレーズのつながりをぶつ切りにしないようにしている。速く弾くというだけでなく音楽の構成上とても重要なことであり、これがアルゲリッチの本来の素晴らしさなのだが、やたらと速く弾くだけのアルゲリッチ風の演奏は多い。
ちなみに同じコンビ、同じ場所でオレイニチャク(95年)とジェヴィツキ(2000年)の録音もある。

【輸入盤CD】KOS RECORDS CD S1-002K
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2007年08月18日

Cristina Ortiz「CHOPIN PIANO CONCERTO NO.2」

ortiz.jpgブラジル出身の女流ピアニスト、クリスティナ・オルティス(1950 - )は1969年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの覇者。パリでマグダ・タリアフェロ(1893-1986)に、またルドルフ・ゼルキン(1903 - 1991)にも師事している。ローレンス・フォスター(1941 - )指揮、ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団との共演でショパンの協奏曲ヘ短調を録音している。1987年2月16日から18日にかけてロンドンにて収録。
オケは演奏も録音も安定しており安心して聴ける。ピアノはブラジル出身という先入観とは裏腹にクセの無い美音系。掌で作り出す美しい響きは気品がある。これはアックスもそうだが天性のものだと思う。フレージングは少し早口で、もう少しタメてくれればと思うところもある。ラルゲットも衒うことなく弾き進むので、ほんのり物足りなさを感じるが、美味い水を飲んだ後のような清涼感にも似た爽やかさが残る。中間部のレチタティーヴォはパンチに欠ける。最後まで作品の組み立てには筋が通っているので、予想と違う構成でも納得できる。同じブラジル出身でもノヴァエス女史のスケールの大きな演奏とは正反対だが、それほどシリアスにもならず叙情的で聴いていて心地良い。
日本ではなかなか情報を得にくいが、昨年来日してN響と共演したそうだ。

Web site:http://www.cristina.ortiz.name/

【輸入盤CD】CARLTON CLASSICS 30367 01172
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2007年08月16日

SERGIO TIEMPO「CHOPIN PIANO CONCERTO NO.1」

tiempo.jpg南米ベネズエラ出身のピアニスト、セルジオ・ティエンポ(1972 - )。3歳でデビューして神童とよばれて云々〜はともかくとして、なんと15歳でショパンの協奏曲ホ短調を録音しているというのだから素晴らしい。ティエンポと同じくベネズエラはカラカス出身のエドゥアルド・マルトゥレット(1953 - )指揮、ブダペスト交響楽団との共演で1987年11月、ブタペストにて収録。
オケはクラシカルなスタイル。アタックを抑えたふくらみのあるフレージング。響きの少ない音色はピアノにも共通しているがプロデューサーの趣味だろうか。ピアノは年齢から想像できる通りバネの効いた弾けるような演奏。第一楽章では所々音量が不足するためかドライブ感が上手く出ず、音が回らない。途中ホルンがしゃしゃってくるがこれは大人気無い。展開部やコーダなどスピード感があっていいが、途中スピードが出過ぎて収拾がつかなくなっている。この音量不足は重症でロマンスでも主旋律が一人歩き。ここぞというところでオケに遠慮している。中間部の歌い回しはデタラメだと思うが、やはり心に響いてこない。フィナーレは跳ね馬のようなステップで個性を感じさせる。全体の出来としてはイマイチだが、オケや指揮者が違っていたら、印象も違ったかもしれない。
経歴だけみるといたってまともで、サンカン門下で合わせてミシェル・ベロフ(1950 - )にも師事している。
※ロンドンでテッサ・ニコルソンに師事。ニコルソンはモレイラ=リマが第3位に入賞した1970年チャイコフスキー国際コンクール第1位のジョン・リル(1944 - )に師事しているそうだ。

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2007年08月13日

ARTHUR MOREIRA LIMA「CHOPIN PIANO CONCERTO NO.1」

lima2.jpgアルトゥール・モレイラ=リマは1940年7月16日にブラジルのリオデジャネイロに生まれる。7歳でピアノをはじめ9歳で正式にデビュー。その後、国内のコンクールで活躍し奨学金を得て留学。パリでマルグリット・ロンジャン・ドワイヤン(1907 - 1982)に師事している。モレイラ=リマが残したショパンの協奏曲ホ短調はヘ短調と同じくディミテル・マノロフ指揮、フィルハーモニア・ブルガリカとの共演。
オケはゆったりめの演奏で密度も濃い。ピアノは弾力のあるタッチで音も重い。さながら鋼か鉄線といったイメージで、ショパンと合うか合わないかは聴く人のお好み次第だが、アルゲリッチが苦手という人には合わないかも。ピアノのせいか若干響きも雑でまとまりがない。ロマンスは粘りのある歌い回し。指先に念を込めて吐き出しているのが伝わってくる。フィナーレはタッチの変化で音楽に回転を与えている。粘りとルバートも弾き分けていて見事。冷静に聴くと全体を通してそうだったのかも。フィナーレだけ聴けば、引き出しは多いがトーンは落ち着いていて統一感もある。こういう渋い芸は嫌いじゃない。最後はやっぱりグッとテンポを落として貫禄のフィニッシュ。
1970年のチャイコフスキー国際コンクールではクライネフがジョン・リルと第1位を分け合い、ポストニコワがこのアルトゥール・モレイラ=リマと3位を分け合った。南米出身の彼にチャイコフスキーはどうかと思われるかもしれないが、モレイラ=リマはパリ留学後、モスクワ音楽院でフリエール門下のルドルフ・ケレル(1923 - )に師事しているそうだからこの結果も不思議ではない。

【輸入盤CD】COLORIT CLASSICS 2000245
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2006年09月23日

CLAUDIO ARRAU「CHOPIN & LISZT: CONCERTI PER PIANOFORTE」

busch.jpgチリ出身のピアニスト、クラウディオ・アラウ(1903 - 1991)は幼少期にベルリンに渡り、リストの高弟クラウゼの元で学んだ。その後、一時祖国に戻りアメリカデビューを果たすが、またすぐにベルリンに戻り1940年までピアノを教えて過ごした。アラウが残したショパンの協奏曲では70年に録音されたインバル盤が定番だが、50年代のliveを録音したものも両協奏曲残されている。このCDに収録されているのはそのうちの一つで1950年12月10日にニューヨークでのlive。
フリッツ・ブッシュ(1890 - 1951)指揮、ニューヨーク・フィルハーモニックとの共演で曲はショパンの協奏曲ヘ短調。アラウの思慮深い構成感は後年の録音と変わらず、確信を持って鳴らされる一つ一つの音は聴いていて気持ちいい。40代後半とはいえ若々しく噛み付くようなピアニズム。それでいて想像力に溢れているのだから人気が出るのもうなずける。
録音状態は全般悪い。特に第二楽章終盤からひどくなる。

【輸入盤CD】URANIA URN 22. 145
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2006年09月20日

Martha Argerich piano「Ravel, Chopin」

argerich.jpgアルゼンチン出身のピアニスト、マルタ・アルゲリッチ(1941 - )が1959年9月25日にジュネーヴで行った演奏会の録音。Louis Martin指揮、スイス・ロマンド管弦楽団との共演で曲はショパンの協奏曲ホ短調。
録音状態はイマイチ。ピアノは指廻りも速く柔軟。ダイナミクスの幅も広い。ただし、オケとのコミュニケーションはなく一方的。フレーズのつなぎも所々苦しくオケの戸惑いが伝わってくる。それにしてもオケの出来はあまり良くない。指揮者に関する情報は見つけられなかった。
18歳になったばかりの頃の演奏だが、激しいだけでなくそれを包み込むスケールのでかさもこの時すでに備わっている。

【輸入盤CD】Cosentino Producciones IRCO 275
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2006年09月18日

Guiomar Novaes「THE ROMANTIC NOVAES」

novaes.jpgブラジル出身のピアニスト、ギオマール・ノヴァエス(1896 - 1979)は往年の名ショパン弾きの一人。戦前、戦後と世界的に活躍し、ピアノ界の女王と呼ばれた。ヨネル・ペルレア(1900 - 1970)指揮、バンベルク交響楽団と共演したショパンの協奏曲ホ短調は日本コロムビアからもLPで発売されていたので懐かしい人も多いと思う。
正確な録音年は分からないが、ステレオなのでノヴァエスとしては全盛期をやや過ぎたあたりの録音と思われる。全般テンポは遅めの設定。技巧面での粗は目立つ。第一楽章展開部の後半などはかなりグダグダになっている。それでもフレージングや、それを束ねる構成面において工夫が見られるので音楽的に揺らぐことはない。オケもきめ細やかなサポートで好演。多少きらびやか過ぎるサウンドは好みが分かれるかもしれない。ロマンスは個々が自発性に溢れ音楽が生きている。抑揚を控えめにしたノヴァエスの歌い回しを聴くと、表面的な効果を狙った演奏がいかに多いかに気付かされる。本当に良い録音だが、プロデューサーなど詳細情報に乏しい。
ノヴァエスはブラジル政府の奨学金を得てヨーロッパに渡り、15歳でパリ音楽院に入学。入試の際、アンコールが出たほどの天才少女だったという。

【輸入盤CD】Vox Legends CDX2 5513
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2006年09月17日

Ricardo Castro「Frederic Chopin Klavierkonzerte Nr.1 & 2」

castro.jpgブラジル出身のピアニスト、リカルド・カストロ(1964 - )は第11回リーズ国際ピアノ・コンクールの覇者。第3回のモレイラ=リマ(第3位)、第6回のディアーナ・カチョ(第2位)に続き、ブラジル人としては初の第1位入賞を果たした。その後はアルテ・ノヴァ、グラモフォンへと初期ロマン派の作品を中心にレコーディングし着実に実績を重ねている。このディスクにはVolker Schmidt-Gertenbach指揮、Sinfonia Varsoviaとの共演でショパンの両協奏曲が収められている。
まずピアノに関しては全般これといって悪いところは見当たらない。ホ短調などは切れ味の鋭い攻撃的なタッチでダイナミクスの幅も広い。アルゲリッチほど個性的でなくとも、アグレッシブな演奏をという人には楽しめると思う。ただ、響きに埋もれて芯がぼやけるところがあり、このピアニストが持つ硬質でクリアーな音色の魅力はホ短調よりもヘ短調の方で魅力を発揮する。オケは日和見主義で主張を感じない。ホ短調はピアノに引っぱられて足下がおぼつかなくなる箇所もある。ヘ短調は出だしからエッジの効かせ方が甘くダラダラとした印象。
BMGがミュンヘンに設立した廉価盤レーベルのアルテ・ノヴァは、若く優秀なアーティストや名声はあるがCDと縁の無かったアーティストを起用してるところが、他の廉価盤レーベルにはないセールスポイントだった。

【輸入盤CD】BMG CLASSICS 82876 52588 2
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2006年09月14日

Aethur Moreira Lima「CHOPIN Piano Concerto No.2」

lima.jpgブラジル出身のピアニスト、アルトゥール・モレイラ=リマ(1940 - )は第7回ショパンコンクールでアルゲリッチに次いで第2位。この大会では南米勢が上位入賞を果たした。muzaから出た名指揮者ロヴィツキの2枚組のアルバムにはこの二人のコンクール時のliveが入っている。この時のモレイラ=リマは少しリキみを感じるが(アルゲリッチはリキみを通り越してぶっ飛んでる)、このDimiter Manolovと共演したアルバムでは人が変わったようにアダルトな雰囲気を身に付けている。オケはフィルハーモニア・ブルガリカで曲はショパンの協奏曲ヘ短調。
まず録音状態が良く、個々の楽器の響きを捉えつつ上手くまとめている。特に木管と低弦がよく歌う。ピアノは一音一音、余韻を確かめながら弾き始めるスタイルはコンクール時と同じだが、その後はぐっとテンポを抑え丁寧に音を重ねていく。伸縮自在の音のフォルムは官能的で色気を感じる。全楽章通じて落ち着いたテンポ設定だが、ラルゲットなどは細かいディテールに気を配ってないようにも感じる。フィナーレは躍動感が足りずリズムもちょっと変。ただ、得体の知れない貫禄をプンプン発散しまくり、最後はモレイラ=リマ様のお通りだいといった感じで堂々とフィニッシュ。本当にショパンを弾き込んで自分のモノにしてきたのだと思う。それが仇となっているのか、速いフレーズなどを手クセのように成り行きで弾いてしまっているのが惜しい。
1960年、パリ音楽院に留学しマルグリット・ロンとジャン・ドワイヤンに師事。
1963年、モスクワ音楽院に留学しルドルフ・ケレルの元で学んだ。

【輸入盤CD】INTERMEZZO MEZ 522
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